クラスには当然人気がある奴ない奴、明るい奴暗い奴、色々いる。
が、俺はあんまりそれにこだわらない。
人気があるからって気が合うわけでもないし、暗いからといっていじめられるタイプじゃないこともあるし。
どっちかというと、中心になるような奴はしんどい。
ある時少数グループの目立たないクラスメートと隣になった。
高校じゃ男女の席が分かれてないから男の場合もあるが、今回は女子が来た。
目立ちはしないが、話すと中々面白い。
話の内容もさっぱりしていて女子の好きな恋愛話にも興味がない。
男連中に人気がないのがよく分かるが俺はこっちの方が話しやすかった。
顔はまぁ普通、可愛くも美人でもない。
客観的に見て中の下、話しやすさをプラスしても中の中、だからと言って見れない顔でもない。
まあ普通と言っていい。
こんな分析をするあたり、俺もその辺の奴らと変わらないのだろうが、その話題をわざわざ口にして盛り上がったりする性格でもなかった。
俺は中程度のグループにいて女子に絶対な人気があるわけでもないが、評価はやや上と言うところ。
それは誰かをいじめることもなく、女子に対して平等であるのと、取り立てて見れない顔じゃないからだろう。
その誰にも平等ということと、話しやすさから俺は隣の席の早坂にそれなりの興味を持った。
早坂にとっては幸か不幸か、俺は多少早坂よりは恋愛の話にもノることがある。
まったくない早坂に、本当に興味がないのか振ってみるが、右から左へ流される。
いつもなら俺が「お前、こんな話興味ないのか?」と言われるのに、まったくその状況に陥らない。
女子と話していて、始めての経験だった。
あまりにあまりなので、俺は試してみた。
「なあ、今度さ、どっか遊びに行かないか?」
「・・・・・・放課後?」
おい。
「じゃなっくて、休みの日に」
「私と?」
そうそう。
「ふーん。で、誰と?」
「・・・・・・だから俺と」
「それくらい分かってる。他には誰がいるの?」
こいつ、端から二人と言う概念がない。
そう言われたら俺と二人でとも言いにくく、他のメンバーを集め回るはめになった。
悔しい。
何故だか分からないがそう思った。
その日の格好は、話しやすさを除いても中の中をあげても良いと思った。
学校でのジミな格好と違い、普通の格好だったのだ。
いつもこんな感じでいれば、男子の中でも評価が上がるだろうにと、俺は多少お節介な、そして相変わらずの分析をしていた。
大人数の中では、早坂は途端に無口になる。
人の会話に割り込めないのだろう。
みんなの後をにこにことついていく。
協調性もある。
全くしゃべらないのだ、あまり楽しくないだろうに、会話が途切れたらさり気なく話題を続ける。
団体行動が苦手なのか。
結局その日は早坂の観察で一日が終わった。
後々気付いたが、早坂があまり話さなかったのは俺もせいもある。
早坂を誘った張本人なのに、その早坂を放ってただ観察していたからだ。
さすがに配慮が足りなかったと、後悔しながら学校に来ると、また早坂は目立たないジミな格好。皆同じ制服なのに、どうしてそんな印象を与えるのだろうか?
「昨日みたいにしないのか?」
ちゃんと髪も整え、薄く化粧すればいいのに。
「え? 面倒だし。昨日はこんな私と出かけるのは恥ずかしいだろうと思ったからしてただけ、一応考えてるのよ私」
そう言って早坂はケタケタと笑う。
決して女らしい笑い方ではない。
何故だろう、苛立ちを感じるのは。
早坂に対する怒り。
それには違いないのだが、早坂を嫌いに向かう方向の怒りではないのだ。
どちらかと言うともどかしいと言う言葉の方が合うのかもしれない。
俺はそれを解消する方法を模索し始めたのだが、解決方法を見いだす前に二ヵ月に一度の席替えがやってきた。
とたんに早坂との会話は減った。
俺達の仲はただ席が近いだけの関係だったのだ。
一緒に出かけないかと誘ったにも関わらず!
結局早坂にとっては、特に何でもないことで、それは男に誘われ慣れてるわけではなく、自分がそんな対象になっていないと頭から思い込んでいるせいだ。
早坂を本気で好きになった奴は、それを伝える事に苦労するだろう。
もう少し男の気持ちに気付けよ!
そこまで行くと女以前の問題だぞ、早川。
特にもてるわけでもないのに、それじゃあ一生彼氏も出来ない。
その少年はどうしたら良いか必死で考えはじめた。
早坂をせめてクラスの一般的な女子の恋愛感覚に持って行くにはと。
ずっと早坂の事が頭から離れない。
少年、それは恋と言うんだよ・・・・・・気付けよ。
ー完ー
FN掲載作品です。FNに載せた中で一番気に入っていない小説です。
理由は書きたいことを上手く書けていないから。
戒めの意味で載せてみました。
しかし何故かFNで最初に書いたからか拍手が多かった「あなたの声が聞きたくて」の次に拍手が多い作品です。
私が書く恋愛物で現代物は淡々と書くのが多いのですが、変に所々普通な書き方をしてしまったかなと思っています。
う~ん、やっぱり小説を書くって難しいなぁ。
(2009.8.18)