妖魔

随分古いりぼんのコミックスです。
作者は楠圭さんなので、知ってる人も多いかな?
楠さんはこの頃の絵が一番好きです。
前後編の二冊ですが何回読んだか。

りぼんにしては内容が濃く、季刊誌の連載だったと思うけど、よく載せたなぁって感じの雰囲気です。
絶対他と毛色が違ったはず。(←憶測です)

時代は戦国時代、飛影(←ひえいではなく、ひかげと読む)は自分に手裏剣を投げ里を脱走した幼馴染、魔狼を追って旅を続けるが、やがて魔狼は妖魔の長鬼陸皇子として飛影と対峙する。

という話ですが、これが面白い。
まだ楠さんが今の綺麗な描き方でなく、少年漫画のようなタッチで描かれるその重暗い感じがすごく良かった。

なのでOVA化されてるのは知ってたので、思い切って見てみました。だからアニメの中に入れてます。

こちらも前後編という短さで、本編の内容がどこまで入るかなと思ったら、なかなか綺麗に入ってました。


ただ、やはり削られたシーンや人物もおり、特に八重は残念です。

飛影に「なにか来るよ」というシーンが好きなので残念です。
強気なお姉さんで風巳の恋人だったのに本当に残念です。
この風巳も役どころが違い、途中で死んでしまいます。一番かわいそうなのは原作より老けた感じがした事ですね(笑)

あと妖の性格も若干違う。これは飛影にも言えますね、飛影の良さを表すセリフがことごとく削られていたという印象です。
妖の腕は立つが気配を感じるのが遅い、というエピソードもありませんでした。
そのため不知火も活躍の場面が丸ごと削られ・・・・・・結構好きだったのに。

「じゃじゃ馬でどうしようもないやつだが、おれはこいつにほれていたんだ」

このセリフ聞きたかったのにな、声も小杉十郎太さんだったし、惜しいです。
この辺りがないから、何故妖が不知火を心配するのが分からないのではないかと思いました。


そして妖が「女」か「忍」かにこだわる所も削られ、いまいち芯のない女な感じになってしまったのが残念です。

最後の決戦前、飛影との会話。

「ならば斬れ!」

のあたりも残念な感じ、ただのすがる女になってしまってた感じ。

ただ魔獣海皇子の前に立ちふさがる感じは良かった。
もう少し活躍出来たらよかったのに。
そして最後。

「妖、おまえはおれと一緒になるんだ」

がないーーー!!
このシーン好きなのに。
風巳がいないので暗い洞窟ではなく小屋で世話してるし、ちょっと残念。

そ・し・て何より琴音の命を受け取った魔狼、原作ではそのまま復活してるのに、OVAでは赤ちゃんになって生まれ変わってるー!!

これが一番嫌。

何か非難ばかりしてますが、全体的には良かったんですよ。


あと、映像的な事を言うと、ここまでどろどろした表現はいらなかったと思う。
どろどろは雰囲気ではなく、本当に泥のようなどろどろした表現が用いられてました。
魔狼の変化も蜘蛛とかのような変化で良かったと思う。
そこだけ妖怪人間?って突っ込んじゃいました。
ついでに魔狼の髪型が違う。変にウェーブがかかっていて、変に美形だし。

これは私の思い込みですけど、魔狼。この発音を私は「ま」にアクセントを付けて読んでました。
「ろう」の方にアクセントを置くんですね、思いこんでた分違和感がありました。

で、この漫画で気になるあやが歌う歌。←妖とは別人
妖魔数え唄。

ひとつ 一夜の恋ならば

ふたつ 二人へ地獄へと

・・・・・・

この歌が良い。
曲だけ持っているんですが、時々口ずさんでしまいます。
内容はくっら~いんですけどね。

とおで吐息を朱に染めて

う~ん、この世界に合ってる。

あ、中途半端に書いたら気になりますか?
全部載せてもいいのかな?載せちゃえ(笑)

ひとつ 一夜の恋ならば

ふたつ 二人へ地獄へと

みっつ みなを殺しても

よっつ 黄泉への道しるべ

いつつ 戦の血の雨の

むっつ 骸とかわりゃせぬ

ななつ 涙もかれはてて

やっつ 闇夜がとけてゆく

ここのつ 今夜は祝言を

とおで 吐息を朱に染めて


でもやっぱり原作を読んでほしいですね、楠さんの中ではこれが一番です。
次に「桃太郎まいる」かな、「僕の学校は戦場だった」も好き。
あ、全部最初の頃の作品ばかりだ(笑)

何年か前に携帯サイトに書いた文章に追記しました。
(2012.3.25)